オルセー美術館は、パリのセーヌ川左岸、ルーブル美術館の対岸に建つ美術館です。もとは1900年のパリ万国博覧会に合わせて造られたオルセー駅の駅舎で、長距離列車の運行は1939年に終わり、のちに美術館への転用が決まって、1986年に開館しました。
所蔵の中心は、1848年の二月革命から1914年の第一次世界大戦の開戦までの、およそ66年間の美術です。絵画、彫刻、写真、グラフィック、家具や工芸品まで、19世紀の幅広い視覚芸術が集められています。モネ、ルノワール、ドガ、マネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンなど、日本でもなじみの深い印象派・ポスト印象派の作品で知られ、英語版ウィキペディアでは、印象派とポスト印象派の名作の所蔵点数が世界最大規模と紹介されています。
来館者も多く、英語版ウィキペディアによると、2022年は約320万人が訪れ、同じ年のフランスの美術館ではルーブルに次ぐ2位でした。人気の理由は、有名な作品がまとまって見られることに加えて、駅舎そのものが見どころになっている点にあります。
日本語版・英語版のウィキペディアで確認できる範囲を中心に、年代順にまとめました。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 19世紀前半 | この場所にオルセー宮(Palais d'Orsay)があった。紹介記事には、1871年のパリ・コミューンで焼失したとの記述もある |
| 1898〜1900年 | オルレアン鉄道が、1900年のパリ万博に間に合うようにオルセー駅を建設 |
| 1939年 | ホームが短く長距離列車に向かないため、近距離列車専用の駅に |
| 1970年代 | 取り壊しの話が出たが見送られ、保存の道へ。1978年に歴史的建造物の指定を受けたとされる |
| 1978〜81年 | 美術館への転用の設計競技が行われ、イタリアの建築家ガエ・アウレンティが内装を担当 |
| 1986年12月 | オルセー美術館として開館。展示の準備には約半年かかったとされる |
建物は、もともと鉄道駅であると同時に、ホテルを併せ持つ大型の建物でした。ところが、ホームが短く大型の列車に対応しにくくなり、1939年に近距離列車だけの駅に格下げされます。その後は駅としての役割を縮めながら、さまざまな用途に使われました。一時は取り壊しの話も出ましたが、1970年代から政府が保存と活用の方法を探しはじめ、美術館への転用が決まります。
美術館の構想には、ルーブル美術館とポンピドゥー・センター(国立近代美術館)の間をつなぐ役割が与えられました。英語版ウィキペディアでは、ルーブルが扱う時代より後、現代美術より前の作品を受け持つ美術館として、1970年代に研究が始まったと説明されています。旧印象派美術館(ジュ・ド・ポーム)の所蔵品は、オルセーに引き継がれました。
駅舎の設計は、日本語版ウィキペディアではヴィクトール・ラルーとされています。一方、英語版では、リュシアン・マーニュ、エミール・ベナール、ヴィクトール・ラルーの3人の建築家の設計とされており、資料によって書き方が違います。ここでは、複数の建築家が関わったとされる点だけ押さえておけば十分です。
いちばんの特徴は、かまぼこ状の大屋根の下に広がる中央ホール(身廊)です。かつて地下に10本以上のホームがあった空間の吹き抜けを、そのまま生かしています。美術館への改装を担当したガエ・アウレンティは、この大きな空間に、彫刻を並べる中央の通路と、その両側の展示室を組み合わせました。
見学の途中では、駅だったころの大時計も目に入ります。文字盤の内側にはカフェがあり、紹介記事によると、セーヌ川やルーブル方面を見渡せる写真スポットとして人気です。また、美術館の入口側と反対の奥にある、パリ・オペラ座の断面模型(縮尺1:100、リシャール・ペドゥッツィ作)は、ガラスの床の下に収められていて、上から見下ろせます。
美術館の外、前の広場には、万国博覧会のために作られた6つの寓意的なブロンズ像のグループが並んでいます。南アメリカ、アジア、オセアニア、ヨーロッパ、北アメリカ、アフリカを表した群像で、入館の前後に外から見ておくのもおすすめです。
展示される作品の数は、日本語版ウィキペディアでは約4,000点、英語版では常時約3,000点とされ、書き方が分かれています。一度に見られる点数は、展示替えや工事の状況でも変わります。ここでは「数千点規模」と考えておくとよいでしょう。
コレクションは大きく、アカデミズム、写実主義、印象派、ポスト印象派、象徴主義、アール・ヌーヴォーの工芸、20世紀の入り口の芸術に分けられます。日本ではあまり知られていない19世紀の公式の美術(アカデミズム)も多く収められ、近年は再評価の動きにもつながっていると説明されています。
彫刻は、英語版ウィキペディアで2,200点を超えるとされます。ロダン、カミーユ・クローデル、カルポー、ドーミエなどの作品があり、ロダンの「地獄の門」や「考える人」も所蔵品として紹介されています。さらに、写真、建築、装飾美術のコレクションもあります。
英語版の作家別の一覧から、点数が多い作家をひろうと、次のようになります。数字は同じ記事に載っている目安で、展示されている点数ではなく、所蔵点数です。
| 作家 | 所蔵点数の目安 |
|---|---|
| ルドン | 106点 |
| モネ | 86点 |
| ルノワール | 81点 |
| ヴュイヤール | 70点 |
| ボナール | 60点 |
| セザンヌ | 56点 |
| クールベ | 48点 |
| ピサロ・シスレー | 各46点 |
| ドガ | 43点 |
| マネ | 34点 |
| ミレー | 27点 |
| ゴッホ・ゴーギャン | 各24点 |
ゴッホやゴーギャンは点数が多くはありませんが、人気の作品が集まっているのが特徴です。モネの作品は86点あると紹介されますが、ほかにマルモッタン・モネ美術館にも大きなコレクションがあります。
このほか、テキサス州のコレクターが寄贈したヘイズ・コレクション(約600点)が、まとまった形で守られていると紹介されています。ボナール、ヴュイヤール、モーリス・ドニ、ルドンなどのポスト印象派の作品が中心です。
「オルセー美術館」で検索すると、東京の展覧会の情報が多く出てきます。東京都美術館の公式ページによると、「オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び」は2026年11月14日から2027年3月28日までの開催で、約110点が展示されます(東京都美術館の案内)。
このサイトが扱うのは、パリの本館を訪れる旅行です。東京展のチケットや会期の情報は、東京都美術館の公式サイトで確認してください。東京展に出品される作品は、会期中のパリでは見られないことがあります。気になる作品がある方は、出かける前に公式サイトで展示の状況を確認すると安心です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 場所 | 1 rue de la Légion d'Honneur, 75007 Paris(パリ7区) |
| 最寄り | RER C線「Musée d'Orsay」駅。メトロ12号線「Solférino」駅から徒歩2〜3分 |
| 開館時間 | 火・水・金・土・日は9:30〜18:00、木曜は21:45まで |
| 休館日 | 月曜、5月1日、12月25日 |
| 料金 | 公式情報では、オンライン16ユーロ、窓口14ユーロ。最新は購入前に確認 |
| 予約 | 公式情報では2026年3月10日から時間指定の予約が必須 |
| 所要時間 | 2〜3時間が目安。全館をゆっくりなら半日 |
表の内容は2026年10月の時点で、公式の案内と日本語パンフレットなどから整理したものです。公式サイトは調査時にこちらから接続できなかった部分があり、料金や予約の条件は変わることがあります。購入の前に公式サイトで必ず確認してください。詳しい時間や行き方は開館時間・行き方にまとめています。
最上階の5階には、公式の日本語パンフレットの作家別索引で、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、マネ、モリゾ、スーラなどが並びます。2階にはロダンやボナール、アール・ヌーヴォーの工芸があります。駅舎ならではの大時計や、時計の内側にあるカフェも人気です。
「ローヌ川の星月夜」(1888年)や「オーヴェルの教会」(1890年)などを所蔵します。
英語版ウィキペディアでは86点。「ルーアン大聖堂」の連作や「ひなげし」などがあります。
「落穂拾い」(1857年)は日本でも人気の高い作品です。展示の状況は事前に確認を。
「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」(1876年)は、印象派を代表する一枚です。
「草上の昼食」(1863年)や「オランピア」を所蔵し、当時の大きな話題作でした。
彫刻では「地獄の門」などが紹介されています。
作品ごとの背景や、回り方のモデルルートは、見どころと名画にまとめています。
公式の案内では、2026年3月10日から、見学の時間枠を予約することが必須になったと報じられています。パリ・ミュージアム・パスを持つ人も、無料の時間枠を取る必要があります。入口前の改修工事が2028年夏まで続くための措置とされています。時間枠なしで行くと、入館を断られることがあるとされるため、日程が決まったら先に押さえましょう。
買い方は、公式サイト、日本語で買える販売サイト、窓口の大きく3つです。違いはチケット予約で比べています。毎月第1日曜は無料とされますが、この日も予約が必要です。18歳未満は無料で、18〜25歳の無料の対象はEU・EEAの居住者などとされ、日本から旅行する方は基本的に対象外と考えておきましょう。
所要時間は、旅行ブログや案内では2〜3時間が目安とされ、主な作品だけなら2時間、じっくりなら3〜4時間、全館なら半日という声があります。5階の印象派だけを見るなら、約60分でも回れますが、待ち時間やクロークの時間は含まれません。
いちばん多いおすすめは、入館したらまず5階へ上がる回り方です。人気の作品が5階に集中しており、朝のうちは比較的空いているとされます。5階を見たあとに、地上階の中央ホールと、2階の彫刻やアール・ヌーヴォーを回ると、体力のあるうちに目玉を押さえられます。
混雑については、旅行者の体験談として、ゴッホの「ローヌ川の星月夜」の前に人だかりができるという声があります。これは個人の感想なので参考にとどめ、遠くから見る、時間をずらして戻るなど、柔軟に動くと見やすくなります。木曜は21:45まで開いており、夕方以降に回る選択肢もあります。
| 美術館 | 中心となるもの | 場所 |
|---|---|---|
| オルセー | 1848〜1914年ごろの美術。旧オルセー駅 | セーヌ左岸 |
| ルーブル | 古代から19世紀半ばまで。旧王宮 | セーヌ右岸 |
| オランジュリー | モネの睡蓮の大作で知られる | テュイルリー公園内 |
年代で分けると、古代から1847年ごろまでがルーブル、1848年から1914年がオルセー、そのあとの現代美術がポンピドゥー・センターと説明されます。印象派の名画を目当てにするならオルセー、モネの睡蓮の大作ならオランジュリーです。オルセーにもモネの睡蓮の絵はありますが、大きな壁面を囲む連作は、オランジュリーが中心とされます。
オルセーからルーブルまでは、セーヌ川を渡って徒歩約15分とされます。旅行サイトには、オルセーとオランジュリーを組み合わせた商品もあります。パリの美術館を何か所も回る場合は、混雑を考えて、日を分けると疲れにくくなります。
公式の案内では、受付まわりなど公共エリアの改修が2026年3月10日から2028年夏まで続きます。この間も美術館は開いていて、すべての収蔵品と展覧会が見られるとされます。ただし入口までの動線が変わることがあるため、現地の案内表示に従ってください。
5階の印象派の展示室は、開いたままで、展示の構成が見直される時期にあたると報じられています。作品の場所が変わる可能性があるので、見たい作品がある方は、出かける前に公式の情報を確認しましょう。このサイトの階の情報も、公式の日本語パンフレットにあるもの以外は、あくまで目安です。
チケットの内容や条件は、出発の前にもう一度確認しておくと安心です。見学の流れは、開館時間・行き方の「混雑を避けるコツ」も参考にしてください。
当サイトは公式サイトではなく、独立した非公式の紹介サイトです。公式サイトは musee-orsay.fr です。美術館は、日本語・中国語・韓国語の公式プランガイド(PDF)を公開しており、館内の配置や営業時間、レストランの案内が載っています。
フランスのパリ、セーヌ川左岸です。RER C線「Musée d'Orsay」駅の目の前で、メトロ12号線「Solférino」駅からも徒歩2〜3分です。
いいえ。このサイトはパリの美術館を訪れる旅行者向けの非公式ガイドです。東京展は東京都美術館の公式サイトをご覧ください。
美術館そのものはパリにあります。日本では、東京などで「オルセー美術館所蔵」の名を冠した展覧会が開かれることがあります。
1900年のパリ万国博覧会に合わせて建てられたオルセー駅の駅舎です。長距離列車の運行は1939年に終わり、のちに美術館へ転用されて、1986年に開館しました。
おもに1848年から1914年までの作品です。それより前の作品はルーブル美術館、あとの作品はポンピドゥー・センターという分け方が説明されています。
公式情報では、2026年3月10日から時間指定の予約が必須とされています。ミュージアム・パスの所持者も無料の時間枠が必要です。購入前に公式サイトで最新の条件を確認してください。
月曜、5月1日、12月25日と案内されています。
公式の案内では、常設展の音声ガイドに日本語があるとされます。料金は5ユーロと報じられています。日本語・中国語・韓国語の館内マップのPDFも、公式サイトで公開されています。
オルセーにも睡蓮を描いた作品はありますが、壁面を囲む大作の連作は、別のオランジュリー美術館にあります。両方を見たい方は、日程を分けて計画しましょう。